3Dプリンター技術研究所(InkJet&FDM熱溶解積層法

やってはいけない インクジェット式3Dプリンタープリンター用液材開発

現在のインクジェット式3Dプリンターで、最も求められていることは材料への機能の付与です。これまで3Dプリンターは主に形状確認を目的として、造形物を作製することが行われてきました。
しかしながら、形状だけでなく様々な機能を持った材料で造形したいというニーズは強く、材料メーカーにとってはビジネスチャンスと言えます。

このような状況の中で、多くのメーカーは材料開発に着手するわけですが、下記のような多くの問題のある開発の進め方をしている例がよく見受けられます。

1.これまで別の目的で使っていたプリンターでとりあえず評価をはじめる

3Dプリンターに使われているインクジェットヘッドは、技術的な理由があって選定されています。それを考慮せずに、とりあえず間に合わせのヘッドで吐出の実験を行っても、実際に造形物をつくる段階になって、問題が出てきます。
そうなるとそこで、もう一度原点に戻って材料開発をする羽目になってしまいます。そうならないためには、市販の3Dプリンターのヘッドや造形プロセスをよく理解しておくことが必要です。
このような状況の中で、多くのメーカーは材料開発に着手するわけですが、下記のような多くの問題のある開発の進め方をしている例がよく見受けられます。

2.具体的なマーケットを想定せずに、まず目的とする機能を持った材料を開発することに着手する

3Dプリンターをはじめとしたデジタルファブリケーションの世界は、基本的には多品種少量生産です。よい材料が開発できたとしても、マーケットサイズが、会社の事業規模や投資した開発費に見合ったものでなければ、事業が成功するとは言えません。予め想定される市場についての、規模の予測や他製品や他分野への展開まで想定した上で、 開発テーマとしての適合性を判断しなければなりません。

3.実際の造形物をつくらず、吐出評価のみで開発を進める

3Dプリンターの一番の肝は、層を積み上げていくプロセスにあります。このプロセスは単に液滴を打ち込み、硬化させていくだけではありません。着滴直後には着滴面の上で、濡れの影響を受けて液滴が広がるプロセスがあります。このプロセスの直後に、硬化のプロセスがあるわけですが、この濡れ広がりと硬化のプロセスの結果として、造形物の層が形成されます。従ってこのプロセスでの挙動を研究せずに、よい材料開発はできません。

4.市販の3Dプリンターを改造して、評価を行う

市販の3Dプリンターを改造して、自社の開発液を容器に満たして実際の造形を行っても、造形はうまくできません。なぜならば、市販のプリンターはヘッドの駆動条件を可変できるわけでも、UVライトの照射タイミングを可変できるわけでもありません。それらの制約された条件の中では 良い造形物を作製することが難しくなります。そうなると、本来可能性がある液材までもが、不適合と判断され、より選択肢の狭い中での難しい液材開発を強いられることになります。

5.市販3Dプリンターの造形プロセスを十分理解せずに、材料評価を行う

市販の3Dプリンターでは着滴後の液材に対して、外部から力を加え表面の状態をより平坦化するためのプロセスが組み込まれています。
このプロセスを行うことを前提とした材料開発と、このプロセスを行わないことを前提とした材料開発では、開発の方向性が大きく異なってきます。またUV光を照射する場合も、そのランプの種類や照射のタイミング、光強度の劣化をどこまで考慮するか等、プリンターのプロセスに関係して様々な要因を材料開発に盛り込んでおかなければなりません。そのためにもプリンターの詳細な造形プロセス理解は必要です。

上記のような間違いを犯さないためには、まず専門家に開発を相談することをお勧めします。

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3Dプリンター評価にふさわしい材料を使用する →3Dプリンター液材料開発支援